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大空と大地のなーさりぃ 下井草駅前園

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高密度な住宅街にある3階建ての保育園。交通量の多い早稲田通りと住宅街を抜ける裏通りの2つの通りに挟まれた、変形したくさび形の土地が敷地です。この条件下で、いかに子どもたちに心地よい居場所をつくりだすか、近隣住民が子どもの存在をポジティブに捉えられる程よい距離感をつくりだすか。この2点が計画の要であり、これらを実現するために「街と空に開かれたホワイエ」を計画しました。
くさび形の土地を横断する吹き抜けのホワイ工は、子どもたちが主に過こす保育室と周辺道路との間に挟まれ、街と保育園の緩衝帯の役割を担います。また、ホワイ工の両端にテラスと階段を設けることで、子どもたちの往来が可視化され、子どもたちの存在が街に表出しました。法的な斜線を交わしながら空に開かれたホワイ工は、採光や通風を確保しにくい高密度な都市環境においても、光と風を呼び込むことができるのです。
限られた面積では平面的な広さは期待できません。しかし、敷地の形状を活かした屈曲したプランのホワイエによって、動きと共に奥行きが変化し、実際の広さ以上の拡がりを感じられます。同時に、行き止まりのない立体的に回遊できる動線は、子どもの動き回りたい衝動を受け止めてくれます。
子どもたちは自然のなかで育つべきであるという理念のもとに名付けられた園名、「大空と大地のなーさりぃ」。高密度な都心での立地条件を乗り越えつつ、街中ならではの建ち方とともに、その理念を現実のものにすることを目指しました。

所在地
東京都杉並区
用途
保育園
構造
鉄骨造
敷地面積
418.31㎡
建築面積
293.58㎡
延床面積
643.92㎡
施工
千広建設
竣工
2017.3
写真
中村絵、新建築
受賞歴
日本建築家協会優秀建築選2019, グッドデザイン賞2017, 第12回キッズデザイン賞, 台北インターナショナルデザインアワード2017 公共空間設計賞, AICA施工例コンテスト2017 優秀賞