東池袋の商店街、都電荒川線の線路沿いに建て替えられた複合ビル。1階はオーナーの飲食店(蕎麦屋)、上階にオーナー住居、メゾネット型賃貸住宅が入っています。都電脇の街路の整備事業に伴い、2010年代から商店街の多くの店が建替を始めました。都電側の店のみ拡幅されたため、極端に新しいファサードと懐かしい商店街の面影が向かい合う街並みに変わっていきました。この断絶された風景に対して、新しいのか古いのかわからないような建物を設計し、両者をつなぐ存在にしたいと考えました。コンクリート打ち放しの外壁はOSB合板を型枠に使い、ほどよく荒っぽいテクスチャーを表現しています。濃淡の異なる黒い着色撥水剤を塗り分け、建物全体に色むらが現れるようにしました。新築なのに時が経過したような表情を持つこの建物が、生まれ変わる東池袋の風景の繋ぎ手になってほしいと願っています。